競馬は1年を通じて毎週解されています。しかし季節によって競馬の傾向が変わります。
特に「夏競馬」は他の季節の競馬とは違い、少し考え方や戦略を変えて挑まなければいけません。
夏競馬で稼ぐには、GⅠレースが開催される春競馬や秋競馬とは違う戦略や分析が求められます。そこでここでは夏競馬攻略のためのポイントを詳しく解説していきます。
夏競馬とは?
夏競馬とは文字通り夏の時期に開催する競馬を指します。夏競馬の定義は次の通りです。
夏競馬はいつからいつまで?
夏競馬は宝塚記念を境に始まります。2021年で言えば6月27日までが春競馬で7月3日から夏競馬が開催されます。
また夏競馬は関東と関西にある競馬場(東京競馬場、中山競馬場、阪神競馬場、京都競馬場)でレースが開催される日までとなっています。2021年で言えば9月5日までが夏競馬で翌週からは「秋競馬」となります。
夏競馬の開催地は?
夏競馬が開催される競馬場は全てローカルの競馬場です。具体的には次の競馬場での開催となります。
[box04 title=”夏競馬の開催会場”]
- 札幌競馬場
- 函館競馬場
- 福島競馬場
- 新潟競馬場
- 中京競馬場
- 小倉競馬場
[/box04]
そもそも夏競馬の期間は関東・関西の競馬場の芝を休める時期でもあります。そのため夏競馬の期間は東京競馬場・中山競馬場・阪神競馬場・京都競馬場での開催はありません。
夏競馬に開催される重賞は?
夏競馬で開催される重賞は次の通りです。
競馬場 | 開催されるレース(グレード) |
札幌競馬場 |
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函館競馬場 |
|
福島競馬場 |
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新潟競馬場 |
|
中京競馬場 |
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小倉競馬場 |
|
上の表を見ればわかる通り、夏競馬の重症はGⅢがほとんどでGⅠレースは開催されません。
特に春競馬や秋競馬の時期に開催が少ない競馬場(札幌競馬場や函館競馬場)での重賞は夏競馬の時期に集約されている傾向があります。
「夏競馬は荒れる」と言われるワケ
長年競馬をしている人の中には「夏競馬は荒れる」「夏競馬は当たらない」と言って夏競馬に取り組むのを推奨してない人もいます。
実際に夏競馬はGⅠレースが開催される春競馬や秋競馬に比べて荒れる傾向があります。その根拠は次の4つが挙げられます。
開催される競馬場の直線が短い
夏競馬が荒れる原因として挙げられるのは、直線距離が短い競馬場での開催が原因と言われています。実際に夏競馬で開催される競馬場の直線距離は以下の通りです。
競馬場 | コース | 直線距離 | 高低差 |
函館競馬場 | 262.0m | 平坦 | |
札幌競馬場 | 266.1m | 平坦 | |
福島競馬場 | 292.0m | 平坦 | |
新潟競馬場 | 外 | 659.0m | 平坦 |
内 | 359.0m | 平坦 | |
中京競馬場 | 412.5m | 2.0m | |
小倉競馬場 | 293.0m | 平坦 | |
東京競馬場 | 525.9m | 2.0m | |
中山競馬場 | 外・内 | 310.0m | 2.3m |
阪神競馬場 | 外 | 473.6m | 1.8m |
内 | 356.5m | 1.8m |
上の表を見てもらえばわかる通り、新潟競馬場と中京競馬場以外は直線距離が300メートルに満たない距離になっています。
直線距離が短ければ「逃げ」や「先行」の馬が後続に追いつかれる前にゴールに入りやすいため、人気がある差し馬が追いつけずレースが荒れる…ということです。
また競馬場の直線距離がどこも平坦なのも荒れる要素として考えられます。
関東・関西の競馬場は直線距離に高低差はあるものの、中京以外のローカル競馬場は直線距離が平坦です。
直線距離が平坦ということは、直線を走る際にスピードを落とさず駆け上がれます。つまり非力で人気がない馬も直線で失速しないでそのままゴールに入れるため、レースが荒れやすくなるのです。
梅雨の影響で馬場状態が荒れる
夏競馬が荒れる原因として挙げられるのが「梅雨」です。
梅雨の時期で雨が多くなれば馬場の状態が悪くなります。馬場の状態が悪くなれば競走馬が本来の力を発揮しづらくなるため、レースは荒れやすくなります。
ただし北海道には梅雨がありません。そのため馬場状態重視でレースを選ぶなら梅雨がなく馬場状態が比較的安定しやすい北海道の競馬場(札幌競馬場と函館競馬場)を中心に選ぶといいでしょう。
輸送距離が長く実力を発揮しにくい
夏競馬が荒れる理由としては競走馬の輸送距離が長いことが挙げられます。
競走馬は美浦トレーニングセンター(茨城県)と栗東トレーニングセンター(滋賀県)のどちらかにいます。そのため関西や関東で競馬が開催されても競馬場までの距離はそこまで遠くありません。
しかし夏競馬は遠ければ北海道まで遠征するため協商場の輸送距離が長くなります。
馬は人以上に環境の変化に敏感なため、長距離輸送によって精神が乱れてしまうこともあるため、長距離輸送によって本らの実力が発揮できない馬もいます。
強い馬は休養に入る
強い馬は夏の時期は休養期間に充ててレースに一切参加しません。そのため夏競馬に出走する馬のレベルや春競馬や秋競馬に比べたら少し見劣りします。
強い馬は春競馬や秋競馬に照準を合わせて調教します。そのため、夏の期間は無理してレースに出走せず休養期間に充てます。
つまり夏競馬に出走する馬は春競馬や秋競馬に出走しても勝てる見込みが低い馬が多く出走します。そのため実力が飛びぬけた馬がいないため、堅いレースが少なくなるのです。
札幌競馬場や函館競馬場に出走している馬の中には「出走手当」目的で出ている馬もいます。特に北海道の競馬場で開催してすぐのレースと開催期間終盤のレースに出走する馬はそもそも勝つつもりで出走しているわけではない可能性もあります。
夏競馬の傾向と特徴
夏競馬は春競馬や秋競馬と比べるとレース展開や出走する競走馬の特徴が少し変わります。夏競馬の傾向や特徴を挙げると次の通りです。
「1強」や「2強」のレースが少ない
夏競馬の開催期間は強い競走馬が休養に入っています。つまり夏競馬に出走する馬は実力的にイマイチの馬が多い傾向があります。
そのため実力が均衡して突出した馬がいないレースも珍しくありません。特に馬柱を比べると上位人気と中位人気の違いが分からない…なんてレースもチラホラあります。
普段から上位人気を中心に馬を選んでいる人は夏競馬予想は難しく感じるでしょう。
牝馬の勝率が上がる
よく「夏競馬は牝馬が強い」と言われていますが、実際の数字を見ると決して牝馬が圧倒しているわけではありません。牝馬の成績が冬よりも夏の方が良いためそう見えるだけです。
実際に夏競馬と冬競馬の牝馬の勝率を比べると一目瞭然です。
冬競馬 | 夏競馬 | |
勝率 | 5.5% | 6.9% |
連対率 | 11.2% | 22.5% |
複勝率 | 17.1% | 21.5% |
夏になると牝馬の勝率が上がる理由としては次のような物が挙げられます。
[box04 title=”牝馬に夏が強い理由”]
- 芝コースが増えて馬力差の影響が少なくなる
- 強い馬が休養に入る
- 上り坂が少ないコースで走る
[/box04]
そのため、普段から牝馬を理由に馬券を買わなかった馬も、夏競馬に限ってはあまり関係なく馬券の候補に考えても良い時期と言えるでしょう。
関東馬より関西馬のほうが勝率は高い
夏競馬の時期は関東(美浦)の馬よりも関西(栗東)の馬の方が馬券になりやすいと言われています。この傾向は日本経済新聞のコラムにも掲載されています。
結果は完全な「西高東低」だった。この期間、関東馬が23勝だったのに対し、関西馬は49勝。連対率でみても関西が16.0%と関東の9.1%を大きく上回った。
もともと春競馬や秋競馬ではそれぞれの地域の競馬場(東京なら東京競馬場と中山競馬場、関西なら阪神競馬場と京都競馬場)が主戦場となります。そのため、ローカル競馬場に出走しない限り関東馬と関西馬が一緒のレースを走ることはありません。
しかし夏競馬の開催会場はすべてローカルのため関東馬と関西馬が同じレースに出走するケースが増えます。もともと馬の実力は「関東馬<関西馬」と言われているため、夏競馬はその傾向が結果につながりやすい…ということです。
夏に強い騎手と夏に弱い騎手がいる
夏競馬は競走馬だけでなく騎手の調子も変わってきます。
夏競馬はローカル競馬場でのみの開催となるため、普段から関東・関西のメイン会場のレースで騎乗している騎手達もローカル競馬場に移動します。そのためライバルが一気に増えるため「ローカルに強い」と言われている騎手が夏競馬になったとたんに成績を落とすことだって珍しくありません。
競馬予想を騎手で決める人もいますが、春競馬や秋競馬と同じような考えで予想すると外れ馬券を買ってしまいかねません。
夏競馬で当てる予想のコツ
ここまでお話しした通り、夏競馬は他の季節に比べて違った特徴を持っています。そのため夏競馬で馬券を当てるには、普段の競馬とはまた違うコツが求められるのです。
では夏競馬で稼ぐには具体的にどんなコツが良いのか?
次のポイントを押さえておくと夏競馬でも馬券を的中で来たり、外れ馬券を買ってしまうリスクを低くできます。夏競馬で挑むならぜひ以下のポイントを押させましょう。
難しいレースには手を出さない
夏競馬に限った話ではないですが、基本的に予想が難しいレースには手を出さないのが鉄則です。
特に夏競馬は強い馬が休養に入っているため出走する馬のレベルが春や秋に比べて低くなりがちです。そのため、人気と実力が伴っていない馬が多く出走しているので予想が困難なレースが増えます。
競馬を収入源の1つとして確立させるなら多少難しいレースにも手を出す必要はありますが、だからといってどの馬が来るか分からないレースで馬券を買う必要はありません。
投資競馬の基本は「予想が簡単なレースで勝負をし、難しいレースはスルー」です。
これは夏競馬にも言えることなので、パッと見て馬券になる馬のメドが立たないレースは絶対に手を出さないようにしましょう。
各馬の「悪い点」ではなく「良い点」で比べる
普段投資競馬をする場合、競馬指標から馬券候補になりそうな馬を絞り込み、そこから馬柱を比較して馬券を買う馬を選びます。この時、馬を比べる時は不安材料などを見つけて判断する「減点方式」で比べると失敗が少なくなります。
しかし夏競馬に出走する馬の多くは実力がイマイチのため、減点方式で選ぼうとするとどの馬も選べなくなります。
そのため夏競馬は「馬券を買わない理由」よりも「馬券を買える理由」を見つける方に力を入れてみてください。
例えば「この馬は3着内率が5割を下回っているけど、今回出走するレースと同じ左回りのコースだけに絞ったら5割を越えている」みたいな。
夏競馬は圧倒的に強い馬がいるレースを見つける事自体が難しいため、どこかで多少の妥協をしないといけないケースが増えていきます。その分各馬の実力をより正確に測る必要があるため、春や秋に比べて慎重な分析力が求められます。
夏競馬の予想の一例として自分の夏競馬実績を紹介するので、参考にしてください。
夏に強い馬を見つける
馬は基本的に暑さに弱い動物ですが、中には夏に強い馬もいます。夏に強い馬ほど夏競馬でも好成績を残しやすい傾向があります。
夏に強い馬として有名なのが「ステイゴールド産駒」です。
ステイゴールド産駒は他の産駒に比べてメンタルが強いと言われており、暑さに負けず走り切る馬が多いと言われています。またステイゴールド産駒にはオルフェーヴルがいるため、今後はオルフェーヴル産駒が夏競馬で活躍する…と予想している人も少なくありません。
他にも夏に強い馬の特徴はいくつかあります。競馬や競走馬のデータサイトでは各競走馬の季節ごとの成績が閲覧できるので、夏競馬を攻略するなら季節ごとの成績をチェックしておくといいでしょう。
競走馬の情報はJRAの公式サイトやnetkeiba.comから確認できます。
[box06 title=”競走馬の情報サイト”]
[/box06]
小回りが得意な馬を狙う
夏競馬が開催される会場は、関東や関西の競馬場に比べて直線が短いコースが特徴です。つまり直線勝負する馬よりもコーナーで加速する「小回りが得意」なタイプの馬の方が有利…ということになります。
小回りが得意な馬かどうかは馬柱を見れば区別できます。目安としては3Fが35~36秒台の馬を狙うとチャンスがあると言われています。
ただし、3Fが35~36秒台の馬を無条件に選べばいい…というわけではありません。
小回りが得意な馬は3Fが35~36秒台であってもきちんと結果が残せる馬を指します。つまり3Fが35~36秒台で走り、なおかつ好走(3着以内)した馬を探すようにしましょう。
穴馬を狙うのもアリ
夏競馬は春や秋に比べてレースが荒れやすい特徴があります。そのため、思い切って穴馬を狙うのも夏競馬で稼ぐコツともいえます。
とはいっても中位人気以下の馬から無理に馬券になりそうな馬を狙う必要はありません。
そもそも夏競馬はレースが荒れやすい特徴があります。つまり上位人気狙いで馬券を選んでもレースが荒れるため払戻金が高くなりやすいのです。
特に着順によってオッズが変動する複勝やワイドは夏競馬になると上振れるレースが増えてきます。馬選びが難しくなりますが、その分的中した時のリターンも大きくなるので複勝やワイドを中心に馬券を買った方がお得だったりもします。
また夏競馬だろうが穴馬を狙う時のリスクは変わりません。穴馬狙いで行くなら穴馬を狙うポイントをしっかり押さえておきましょう。
まとめ
[box05 title=”夏競馬攻略のまとめ”]
- 夏競馬は6月末から9月初旬に開催される競馬の事
- 夏競馬は強い馬が休養しているため予測が難しい
- 夏競馬は稼ぐための傾向と対策が変わる
- 夏競馬では夏競馬ならではの予想・分析をする
[/box05]
ここでは夏競馬の特徴や夏競馬で稼ぐコツについてお話ししました。夏競馬は春競馬や秋競馬とは違う競馬となるため、普段通りの予想や分析で挑むと失敗する可能性が高くなります。
「夏競馬は当たらない」と言われていますが、競馬で稼ぐなら夏競馬を制する必要があります。
ここで紹介した内容を参考に、夏競馬の挑み方や攻略法をぜひ考えて競馬を収入源の1つとして確立させていってください。