2024年の皐月賞でジャスティンミラノが勝った時、友道康夫調教師は、同年4月に落馬事故で死亡した藤岡康太騎手のことに触れながら号泣していたそうです。
自分はこの時の記事を見て、
「ならば、いい馬をたくさん預かっているのだから、1頭くらい彼に託せばよかったじゃないか」
と一旦は思いました。
ですが、よくよく考えてみると、毎年たくさん重賞を勝っている彼ほどの有能な調教師なら、それができるなら既にやっていたはず。
裏方に徹する藤岡康太騎手の地道な努力に報いてあげたくても、誰が悪いとかそういうことではなく、そうすることが許されない「大人の事情」やしがらみがきっとあったのでしょう。
そういうやるせない無念の号泣だったのかも知れません。
藤岡康太騎手は、マカヒキ、ワグネリアン、ドウデュースの調教なんかもやっていたそうですね。
「人という字は人と人が支え合っている」
3年B組金八先生の名言です。
ですが、現実的には、誰かがいい思いをする一方で、そのせいで別の誰かが割りを食っていることの方が多いのが今の世の中かと。
J●Aは「予定調和」で以てそこらへんのバランスを絶妙にとって、なるべく不幸になる人を作らないようにしているのかなと思います。
良い悪いは別にして。
でも、こういうのは「向上心」とは全く別の話。
藤岡康太騎手は、いい馬の調教を自ら志願することで、いずれ自分に順番が回ってきた時のために、技術と感性を研ぎ澄まそうとしていたのかも知れません。
ムーア騎手から突如の乗り替わりでナミュールに騎乗して見事に制した2023年のマイルチャンピオンシップなんかはその好例かと。
だとしたら、35年という短い人生の中でやり残したことはたくさんあっただろうけど、やってきたことに対しては35年間ちゃんと生きたと言えるのではないかと思います。
たかが競馬でも志を持ってコツコツ励めば、いずれ自分に順番が回ってきます。
そのための素材が ↓ です。