ここでは競馬の「騎手」に焦点を当てて解説していきます。
競馬を予想する時に馬の能力や過去の戦歴に注目する人も多いですが「騎手」で選ぶ人も少なくありません。
競馬における影響は競走馬が7割、騎手が3割と言われているように、騎手の能力もレースの結果に少なからず影響を与えます。
とはいえ「この騎手が乗るから強い」「この騎手はダメ」とストレートな予想をしても競馬は一向に当たりません。
そこで競馬予想で「騎手を使った正しい予想のポイント」を具体的に解説していきます。
競馬における騎手の役割
騎手とは、競走馬を正しく操縦して決勝線(ゴール)に到達するまで可能な限り全能力を発揮させることが仕事で、競馬学校を卒業し、試験をパスした人だけができる職業です。
日本の場合、騎手の多くはJRA(日本中央競馬会)もしくはNAR(地方全国競馬教会)のいずれかの組織から免許を受け、JRAは美浦・栗東の両トレーニングセンターに所属しています。
騎手が乗る馬については一般的に調教師が決めます。
そのため、厩舎に所属している騎手はその厩舎にいる競走馬を調教している調教師から依頼され、レースに出走します。
ただ最近はこうした厩舎に所属していないフリーの騎手の増えてきました。
例えて言うならフリーアナウンサーのような人達で、自身の実力をより高めたり活躍の場を求めて厩舎から独立した騎手のことを指します。
こうした騎手達の中から調教師はどの馬に誰を乗せるかを決めるのです。
多くの場合は、厩舎に所属している騎手の中ら選ぶものですが、GⅠなどの重賞レースにあると、実力が高いフリーの騎手に依頼することも珍しくありません。
また、騎手のもとに複数の競走馬の騎乗依頼が来た場合、騎手がどの馬に乗る選ぶことができます。
そして、騎手の成績は『リーディング』によって知ることができ、勝率・連対率から1着になった回数、収得賞金などといったデータが一覧となってみることができます。
ただし、強い馬に乗る騎手が強いわけでも、上手な騎手が乗ったからレースに勝てるわけでもありません。
競走馬も生き物ですから、当然騎手との相性があります。
騎手が乗り替わっただけで結果が出た馬もいれば、逆に全く勝てなくなってしまった馬もいます。
そして、勝率が悪くなれば当然次からその馬の騎乗依頼が来ることはありません。
さらに、レースや馬によっては外国人騎手に依頼することもあります。
このように、単純に騎手と言っても調べてみるといろいろな特徴や経緯があってその馬に乗っているのがうかがえます。
こうした背景を予想の参考情報として入れておくと、どの馬が来るかを見つける1つのポイントとなるのではないでしょうか。
“競馬が上手い”騎手の特徴
騎手は競馬学校に入学し、卒業前の試験をパスすることによってなることができるため、毎年数人新人騎手が誕生していることになります。
そのため、騎手によってそれぞれ特徴が違いますし、当然経験値や実力だって異なるため『どの騎手が乗っているか』で馬券を選ぶのもあながち的外れな方法ではないのです。
とはいえ、一目見ただけではどの騎手が上手かどうかは分かりません。
なぜなら、実力がずば抜けている馬に騎乗すれば、当然騎手の実力がなくても勝つことができてしまうため、一概に“勝率が高い騎手”や“収得賞金が多い騎手”がそのまま強い騎手とは言えないからです。
強い騎手とは、馬の実力を100%発揮させ、レースで勝利に導く人を指しますが、どういって点がほかの騎手とは違うのか?
色々人によって見解が異なりますが、一般的に次の3つが強い騎手の特徴と言われています。
1:差しが上手な騎手
競馬において競走馬の脚質はレース展開に大きな影響を与えます。
競走馬の脚質は4通りあり、それぞれ
逃げ:先頭に立って走る
先行:中団より前目で前に馬がいないところから抜け出す
差し:中団より後ろで馬群から抜け出す
追い込み:中団より後ろから最後の直線で大外から突っ込んでくる
この中でもっとも難しいのが「差し」です。
なぜなら差しの場合、レース中盤まで馬群の中にいるため、その馬群から抜け出すタイミングを誤ると勝つことができないからです。
早ければゴールにつく前に馬が疲れてしまい、逆に遅いと馬群から抜け出せなくなる。
また、競走馬が密集している馬群から直線に抜け出すコースを見つける能力も要求されるため、差しの馬で勝てる騎手は実力があると考えられています。
2:場群を捌ける騎手
どれだけ実力がある競走馬でも、前に馬がいたらその力を発揮できずに終わってしまいます。
競馬は人間のマラソンと違って、縦に長く伸び切ったままゴールすることはあまりなく、たいていの場合直線に入る手前のコーナーで密集します。
こうした状態を馬群というのですが、この場群の中でいかに騎乗している馬を前へ抜け出せるかが騎手の腕の見せ所でもあるのです。
逆に『逃げ』や『先行』など最初から馬群より前でレース展開でしか勝てない馬は一旦馬群に沈むと抜け出すだけの力がないため、馬の実力に頼る割合が大きくなってしまう印象があります。
そういう意味では、先ほどあげた1:の特徴と重複している部分があると思います。
3:総賞金が多い騎手
中央競馬では毎年騎手の成績を『リーディング』として発表しています。
そこには、各騎手の勝率や連対率や複勝率などといったデータもありますが、最も注目すべきは『総賞金』です。
競馬はレースによってグレードが設定されており、重賞になればなるほど賞金が高くなっています。
つまり、いかに勝利数が多かったり勝率が高くても総賞金が少ない人もいれば、そこまで勝率や勝利数が多くなくても総賞金が高い人もいるのです。
こうしたリーディング順位と、総賞金のバランスが崩れている騎手はチェックしておいた方がいいでしょう。
特にリーディング順位が低いのに総賞金が異常に高い騎手は、主に重賞で活躍している騎手であることが予想できるため、大舞台に強い騎手だと推測できます。
逆にリーディング順位が高い割に総賞金が低い騎手は、大舞台でいまいち結果を残せていない騎手となる。
このように、リーディングからどんな状況で騎手が力を発揮するかを予想することができるのです。
騎手から考える競馬予想のポイント
どの騎手がどんな理由で騎乗していても、馬券を的中し、お金を稼ぐことが最大の目標です。
ですから極端な話、どの馬にどの騎手が乗っているかを確認する必要はそこまでないと考えています。
なぜなら、そうした要素もすべてオッズに反映されているからです。
オッズは、馬券が買われれば買われるほど低くなっていき、相対的に買われていない馬券のオッズは高くなっていきます。
つまり、こうした騎手と競走馬の相性や騎手に対する信頼感も含まて、オッズが物語っているのではないでしょうか。
とはいえ、騎手によってそれぞれ実力も異なれば、得意なパターン、苦手なパターンというのはあります。
また、騎手の能力も織り込まれてオッズに反映している・・・と言いましたが、当然騎手を無視して馬券を買っている人も多いため、100%反映されているわけではありません。
ですから、自分が目をつけた馬にイマイチ自信がもてないのであれば、騎乗する騎手を見て最終判断をするのも1つの方法だと思います。
では具体的に騎手のどういった部分をチェックすればいいのか?
少なくとも次の3つは押さえておくといいでしょう。
1:フリーの若手の騎手が乗る場合は要注意
フリー騎手とは、どこの厩舎にも属していない騎手のことで、武豊騎手などさほど競馬を知らない人でも名前くらい聞いたことがあるような有名な人から「この人誰?」という人までたくさんいます。
その中で、20代前半という若いフリー騎手も何人かいますが、こうした若手のフリー騎手が騎乗する馬は気を付けたほうがいいかもしれません。
その理由は先ほどエージェントのところでお話しした“勝ちを譲り合う”可能性があるからです。
フリーということは、レースで出走しない限り収入がないわけですが、そのためにはそれなりに実績が必要です。
そこで、フリーの騎手同士が結託してわざと誰かを勝たせたり負けたりするかもしれない。
もちろんこれは個人的な見解であり、本当にこうしたやり取りが裏で行われているかどうかは不明です。
ただ、フリーである以上安定した収入がないわけですから、このような談合が行ってでも稼ぎがほしい…という気持ちは少なからず理解できます。
なので、もし騎手での馬券を買うかを選ぶ際には、なるべくキャリアのある騎手を選んだほうが無難かもしれません。
2:騎手が得意な条件レースは勝負する価値アリ
騎手によって得意なシチュエーションと苦手なシチュエーションというものがあります。
例えば、ある騎手はなぜか特定の競馬場では異常な勝率を誇っていたり、全体の勝利数に比べて、重賞の割合が低い場合は重賞でその騎手が騎乗する馬を避けたり・・・とか。
単純にリーディングがいいからといってその騎手が総合的に実力があるわけではなく、中には馬の力に依存した勝利も含まれています。
そういった数字の裏のデータを読み取ることで、ある程度候補となる馬や馬券の対象から外す馬を選定することによって、選択肢を狭めてみてください。
3:騎手が載り替わった競走馬は要注意
ある程度実力が伴った馬は、必ず特定の騎手が乗る傾向があります。
その方が調教師や馬主から見ても安心しますし、騎手もより勝ちにつなげることができるからです。
ですが、こうした固定された組合せは一部のよほど強い馬に限られており、それ以外の馬はレースや日程によって騎乗する騎手が変わっています。
こうした、前回のレースと騎手が乗り替わった馬はチェックしておいて損はないでしょう。
競走馬と騎手にはそれぞれ相性があり、相性がいいもの同士がレースに出走すれば、好成績を残す可能性はぐっと高まります。
しかし相性が悪ければ馬の能力を引き出しきれずに負けてしまうため、実力に見合わない結果を出した騎手はすぐに降ろされてしまう。
つまり、前回結果がよくない馬が別の騎手で来た場合は、人気に見合う実力を発揮する可能性があるため、マークしておくのがお勧めです。
特に、以前にも同じ競走馬に乗って好成績を収めたのであればなおさらです。
競馬予想において騎手の力は無視できない
冒頭でもお伝えしたように、競馬において「馬7割騎手3割」の割合で結果に反映されるといわれています。
ですから、一概に騎手の力は競馬の予想において無視することはできません。
馬の能力やオッズを含めた数値を比較しても甲乙がつけがたい場合は、思い切って騎手で決めるのも1つの選択肢だと思います。
ただし、騎手の力がレースに多大な影響を及ぼすか・・・というと、そこまでの影響力はありません。
オッズは、トータルの順位予想が反映されて数値化されていますから、騎手と競走馬の相性や騎手そのものの能力も少なからず盛り込まれています。
ですから、必ずチェックすべき項目というよりは、あくまでも“参考にできる情報”として競馬予想に反映させるくらいでいいでしょう。
情報は何でもかんでも多く持てばいい・・・というものではありません。
自分にとって何が必要で何が必要でないかの取捨選択をハッキリさせ、競馬でお金が増やせる力を身につけてもらえればと思います。
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